【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~




それから、またしばらくして。


「なんかまたペン頂戴」


「え?なんかって言われても……、」



戸惑う私。



「香山がいらないやつとか、あんまり使わないやつとか、なんでもいいからさ」



えー、そんなこと言われてもな……。


私は、常に何種類ものペンを常備しているペンケースの中をあさる。



うーん、どうしよう?



「あ、柏木だけずりぃー。香山、俺にもなんかペン頂戴よ?」


「え?」


私たちの会話に入ってきたのは、柏木の前の席に座る大野だ。


大野は私たちの会話を聞いていたみたいで、何故か大野まで私のペンを欲しがっている。



何、何?


男子って、女子とは違ってあんまりカラーペンとか持ってないから欲しいだけなのかな?



「なんで大野まで便乗してくんだよ」


「いいじゃん、柏木はよくて俺がダメな理由なんかないよな?香山」


「……え?」



何この状況。


私は、なんとなく2人に断ることもできなくて。



「こんなのでいいなら……」



普段、あまり出番のないペンを2人に一本ずつあげた。



「サンキュー!」


すると、柏木はまたクシャッと満面の笑顔。


“タダでペンをもらえてラッキー!”って顔した大野とは表情が全然違う。



もしかして……。


柏木って、私のこと……



それは、私の思い込みかもしれない。


うぬぼれちゃいけない。



だけど、淡い期待を抱いてしまう。



もし、本当にそうならいいのに。


柏木も私のことを、好きだったらいいのに……。




< 6 / 32 >

この作品をシェア

pagetop