【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~
それから、またしばらくして。
「なんかまたペン頂戴」
「え?なんかって言われても……、」
戸惑う私。
「香山がいらないやつとか、あんまり使わないやつとか、なんでもいいからさ」
えー、そんなこと言われてもな……。
私は、常に何種類ものペンを常備しているペンケースの中をあさる。
うーん、どうしよう?
「あ、柏木だけずりぃー。香山、俺にもなんかペン頂戴よ?」
「え?」
私たちの会話に入ってきたのは、柏木の前の席に座る大野だ。
大野は私たちの会話を聞いていたみたいで、何故か大野まで私のペンを欲しがっている。
何、何?
男子って、女子とは違ってあんまりカラーペンとか持ってないから欲しいだけなのかな?
「なんで大野まで便乗してくんだよ」
「いいじゃん、柏木はよくて俺がダメな理由なんかないよな?香山」
「……え?」
何この状況。
私は、なんとなく2人に断ることもできなくて。
「こんなのでいいなら……」
普段、あまり出番のないペンを2人に一本ずつあげた。
「サンキュー!」
すると、柏木はまたクシャッと満面の笑顔。
“タダでペンをもらえてラッキー!”って顔した大野とは表情が全然違う。
もしかして……。
柏木って、私のこと……
それは、私の思い込みかもしれない。
うぬぼれちゃいけない。
だけど、淡い期待を抱いてしまう。
もし、本当にそうならいいのに。
柏木も私のことを、好きだったらいいのに……。