なんで俺じゃあかんねん
第3章
「好き、やねん。」
6月、最初の水曜日。
部活が終わってからでいいから来てほしい
といわれて、やってきた初めて入った1組の教室。
俺は、高校ではじめて告られた。
「入学したときから、ずっとかっこいいなって思ってて
何回かバスケ部にも見に行ったことあって・・・
やっぱり、坂井くんが一番かっこいいし、
それに、すっごい優しいし。」
相手は、結構可愛い子で。
丁寧にアイロンで巻かれた髪と、妙に艶のある唇以外は
とくにいじった形跡もなく、もともと可愛い子なんだと思う。
スカートのたけも短い。
そこからのびる足も、細いし白い。
肩幅も小さくて全体的に華奢。
そのくせ、胸はある。腰もくびれてる。
俺は、相手の言葉もろくに聴かずに完全に第3者の感覚でその子を評価していた。
でも、ひと言だけひっかかった言葉。
"優しい"
俺、この子に優しくした覚えない。
ていうか、しゃべったこともない。
その前に、この子だれ?
「ウチじゃ、あかんかな。」
一人称、ウチなんや。
こういうタイプの子って一人称名前なイメージを勝手に持ってんねんけど。