なんで俺じゃあかんねん
聞きなれない、低い、男の声に3人で振り返った。
そして、一斉に息を呑む。
さらさらな黒髪。
すらっとした身長に似合った長い足。
焼けてない綺麗な肌に
横顔で際立つ高い鼻と長いまつげ。
大きな目は少し茶色をおびていて可愛い。
でも、きゅっと引き締まった唇が男らしくて、やっぱりかっこいい。
・・・・イケメン!!
横にいた二人の顔も赤くなる。
「最悪やな、あいつ。」
そうつぶやいて、立ち上がったわたしに差し出す左手。
そこには、散らばっていたはずの教材が綺麗に集められてのっている。
「これで全部?」
声もいい。
「うん・・・・。」
放心状態でつぶやくウチに、軽く微笑む。
「ごめんな。アレ、俺の友達やから。
先生に雑用頼まれて時間食ってもたから、昼飯争奪に必死やねん。
だからって今のはないわ。
俺からももう一回謝らせて。ホンマ、ごめんな。」
友達のしたこと、この人が謝ってる・・・・。
「あ、ううん。ありがとう!拾ってくれて。」
そう言うと、その人はフッと笑って「じゃあ。」と食堂の方へ歩いていった。
かっこいい・・・・!!!
その後で、ウチは友達から、アレが例の坂井くんだってことを知った。