なんで俺じゃあかんねん
「そんなこと、あった?」
清水さんから聞かされたエピソードにただ驚く。
「あったよ~~!!
もう、王子やって思ったもん。
かっこよすぎやったわ、坂井くん。」
「いや、でも普通やろ?」
教材拾うくらい、誰でもするって。
「ううん!普通じゃない。
友達の分まで謝れるなんて、やっぱり優しいよ!」
「そうかな?」
「うん。それがきっかけで、坂井くんの部活とか見に行ったりして、
もっと坂井くんのこと好きになって、それで告白しました。」
そんな経過があったなんて・・・・。
やっぱり、俺は間違っていた。
全然軽い告白なんかじゃなかった。
それまでに、清水さんはずっと俺を想ってくれてたんや。
「そうやったんか・・・。
なんかごめん。
そんなに、想ってくれてたのに、俺、不誠実やったわ。」
「え?そんなことないって!」
「いや、そうや。」
うん。俺、そこまで真剣に考えてなかった。
ちゃんと、ちゃんと返事しなあかん。
もう遅いかもしれへんけど、
てか、絶対遅いけど、
返事くらいちゃんとしな!!
俺はそう思って清水さんを見た。