なんで俺じゃあかんねん
「俺は、そんな経験したことないから、きっとどれが正解とかはわからへん。

それに俺の考えやから、最終的には雅さんがどうするかやと思うから
軽く聞き流してほしいんやけど。」

雅さんはこくりと頷いた。

「雅さんのお母さんは、きっと雅さんの幸せを思って言ってるんやと思う。
それだけの才能があるから、将来のことを思えば今から高い志を持ってほしいって思ってるんやろうし、そのために厳しくしてるんやと思う。

けど、それってお母さんの考えやん。

雅さんの人生なんやから、将来どうするかとか、それこそピアノで食べていくつもりなのかとか、決めるのは雅さんやと思う。
もし、ピアニストを目指すとしても、今しか経験できへんことを我慢してまでピアノに時間を注ぐのかも、決めるのは雅さんやと思う。

俺らはまだ子供やけど、自分の選択に責任くらいは持てるやん?

雅さんは、どうしたいの?」

結局、どうすればいいなんて言えなかった。

俺の考えを並べただけ。

こんなこと言っても、解決にはならん。

役に立たない自分に飽きれる。

「私は・・・」

自己嫌悪になっていたら、小さな声が聞こえた。

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