なんで俺じゃあかんねん
次の瞬間、
ぐっと、引き寄せられて

温かい体温に包まれた。


「もう、泣かんといて。」


ぎゅっと、包まれる。

力強い腕。


びっくりして、一瞬、息と涙がとまった。


真田くんは、痛いくらいに私を抱きしめる。

そして、右手で頭を撫でてくれる。
まるでなだめるように。



「大丈夫やから。」

低い声が耳元で響く。


その声がやっぱり優しくて

触れる手も、優しくて


優しさに、一瞬止まっていたはずの涙がまた溢れた。




こんなに優しくていい人やのに。


私は・・・!




「ごめん、なさい・・・・。」



< 402 / 485 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop