なんで俺じゃあかんねん
真田くんは、しばらく何も言わずに
ただ抱きしめて、頭を撫でてくれた。


落ち着いた頃に

やっと、真田くんの胸をそっと押す。


いつまでも、甘えてすがるわけにはいかん。



意を決して彼を見上げる。


こんなに近くで顔を見たのは初めて。

私より15cm以上は背が高くて

肩幅も広い。


学校で人気なだけあって、かっこいいな。


・・・でも。



「坂井さん、言って。」

真田くんは、いつものように笑う。

「俺たぶん、はっきり言われないと、わからんから。」


私もそう。

はっきり言わないと
いつまで経っても、うじうじしてる。

立ち止まったまま。

だから・・・。


真田くんの瞳を見つめ返して大きく頷いた。



「真田くん。」

「うん。」


「・・・ごめん。

真田くんの気持ちには応えられません。」


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