なんで俺じゃあかんねん
「坂井さん。」

呼ばれて顔をあげる。

「それだけ?」

え・・・?

そう聞いてきた真田くんの顔はおだやかだった。

いつもの優しい真田くん。


でも、彼を見て・・・・

なにかがこみ上げてきた。




ちがう・・・・。

今言ったことは、全部事実。

けど、ちゃうやろ。


もっと単純で

明解で


私の気持ちは、


「他に、」


そう、すごくシンプル。



「他に好きな人がおるから・・・」


これだけ。



「すっごく、好きな人がおるから・・・

真田くんとは付き合えません。」



最初からこう言えばよかったんや。



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