なんで俺じゃあかんねん
正解、とでも言うように彼はにっこり笑った。

「おっけ、了解!」

そう言って、すっと離れていった。

「それはもうしゃーないよな!」

明るく笑いながら、ベンチにどかっと座る。

そんな真田くんを何も言えずに見ていた。

「なんとなくわかってた。」

わかって、た?

驚く私に、軽く首を縦にふる。

「うん、わかってたんよ。

いや最近やで?告白してから。

なんか、困ってんな~って。

あと、たぶん・・・
俺じゃない誰かの事見てるんやなって。」

真田くんは笑顔を崩さないけど

目にはいつもの光がない。


「でもいいやって思ってた。

それでも、坂井さんが俺と付き合うことを選んでくれたら
俺はきっと、気づかんふりしたよ。

・・・いつまでも。」

「そんな・・・!

そんなんあかん!」

思わず声を上げる。

真田くんは、一瞬動きを止めたあと、また笑った。

「せやな。けど、それくらい必死やった。

どんな形でもいいから、坂井さんの彼氏になりたかった。」

< 406 / 485 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop