ワンだふる ワールド 5 ~ワンコの同窓会~《TABOO》
母校に着くと、懐かしい半面、皆の変わり様に驚かされた。
特に男子…あどけない子犬だった彼らが立派な成犬へと成長している。
当時は私も純真無垢なサッカー部のマネージャー。
献身的に尽くしていた自分を思い出すと冷や汗が滲む。
とそこへサッカー部のメンバーが顔を揃えた。
精悍なマスクのキャプテンでエースのボクサー
華麗で美男子、ファンタジスタのコリー
大柄で頼もしいキーパーのセントバーナード
負けん気の強いディフェンス、柴犬
やはりというか、当時も今も目立つのは白い歯がキラリと光る爽やかなコリー。
が、他女子に囲まれてシュートが打てない。
他に…と攻めの糸口を探すと、目についたのは柴犬。
――豆柴だったのに、立派な柴犬になって…
と食指が動く。
が、声を掛けても、無愛想でノリが悪い。
見れば、左手の薬指には光るリング。
柴犬といえば…ご主人一筋。
なるほど、守りが固いわけだ。
崩し難い相手を諦め、ボクサーと昔話に花を咲かせた。