隣の部屋の年上狼
ぐぅぅ〜とお腹が虚しく鳴った、そのとき。
「フっ」
誰かが鼻で笑って、あたしはしゃがみこんだまま下を向いた。
恥ずかし…!
絶対腹の音で笑われた!
ってか、誰が…
「そんなところで何してんの?
お隣さん」
この声…
『隣に越してきた、遠野です』
顔を上げると、スーツ姿の遠野さんが立っていた。
「何してんの?しゃがみこんで」
ってかこの人、本当にあの優しそうな人!?
「なっ…なんでもないですっ!
気にしないでくださいっ…」
「あ、そう」
スタスタとあたしの前を通りすぎて、遠野さんは自分の部屋に入っていった。
絶対あの人、二重人格だっ!
あんな口悪い人だとはっ…
ぐぅぅ…
わ、またお腹鳴った…
しかも何か…いい匂いがする…
遠野さんが何か作ってるのかな…