隣の部屋の年上狼




じゃああたし、今日は本当に野宿!?


「だから言ってみろよ。どうしたのか。
お前の頼りになる隣人なんだから、俺は」



「別にっ、頼りにはしてないから!
でも…今日は、今日だけは頼っていいですか」


「本当に可愛げねぇな。
ま、いいや。どうした?」



「………電気…つかなくて」


玄関の電気のスイッチをカチカチと押して見せた。



「ブレーカーは?見た?」



「よく…分かんなくて」



見せて、とその人は言って、あたしは部屋に通した。



「うわ、なんか…故障だな、これ。明日、大家に頼んで電気屋呼ばねぇと無理」



そ、そんな〜…


「ろうそくかなんかあるだろ。それで一日過ごせ」


なにそれ!!
無責任じゃんっ!


「どうする?俺が部屋に泊めてやるっつったら」


ニヤリと笑った隣人は、あたしの顔を覗いた。



眼鏡の奥に見える、黒茶色の瞳があたしを見据えた。





< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop