隣の部屋の年上狼
じゃああたし、今日は本当に野宿!?
「だから言ってみろよ。どうしたのか。
お前の頼りになる隣人なんだから、俺は」
「別にっ、頼りにはしてないから!
でも…今日は、今日だけは頼っていいですか」
「本当に可愛げねぇな。
ま、いいや。どうした?」
「………電気…つかなくて」
玄関の電気のスイッチをカチカチと押して見せた。
「ブレーカーは?見た?」
「よく…分かんなくて」
見せて、とその人は言って、あたしは部屋に通した。
「うわ、なんか…故障だな、これ。明日、大家に頼んで電気屋呼ばねぇと無理」
そ、そんな〜…
「ろうそくかなんかあるだろ。それで一日過ごせ」
なにそれ!!
無責任じゃんっ!
「どうする?俺が部屋に泊めてやるっつったら」
ニヤリと笑った隣人は、あたしの顔を覗いた。
眼鏡の奥に見える、黒茶色の瞳があたしを見据えた。