密の味~色づく唇~



「湊ちゃんにはこの色がいいと思うの」


秋津さんが選んでくれたのは――。


「……オレンジ?」


「そう。湊ちゃんのイメージ」


「私の?」


「元気で明るい、可愛い女の子って感じ」


秋津さんの中でのイメージを聞かされ。


少し気恥ずかしい気持ちになった。


「唇、開いて?」


言われるままに、口を開ける。


上下に直塗りされ、色づいた唇を。


中指でゆっくりと馴染ませていく。


唇の輪郭を行き来する、秋津さんの指。


その感覚に困っていると。


彼から意外な言葉が漏れた。


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