だから、内緒にして
「バレンタインはチョコ、ありがとう。……これ、お返し」
近づいてきた彼の掌には、可愛らしい箱が乗っていた。
「……なに?」
受け取ると、彼はあたしの手を掴んで。
生徒会室の隣の空き教室に引き入れた。
ガラ、とドアを閉める。
もうすっかり日の落ちた時間帯。
窓から差し込んでくる月光が、ぼんやりとあたしたちを照らしていた。
「だから、ホワイトデーだって。……開けてみて」
優しげな彼の声に、あたしはゆっくり箱の包装を解いた。