だから、内緒にして
「……え?」
箱を開けて、中に入っていたのは、指輪だった。
シルバーのとても綺麗な、指輪。
「これ……」
掌に乗った指輪から顔を上げると、優しく微笑む彼と目が合った。
キュンと、胸が鳴る。
「いいの……?」
「当たり前だろ。……まだ、ココには、無理かもしれないけど」
あたしの手を取って、左手の薬指に唇で触れてはにかんだ彼が、あたしの視界にはぼやけて見えた。
「……泣くなよ」
「だって」