だから、内緒にして


「……え?」



箱を開けて、中に入っていたのは、指輪だった。


シルバーのとても綺麗な、指輪。



「これ……」



掌に乗った指輪から顔を上げると、優しく微笑む彼と目が合った。


キュンと、胸が鳴る。



「いいの……?」


「当たり前だろ。……まだ、ココには、無理かもしれないけど」



あたしの手を取って、左手の薬指に唇で触れてはにかんだ彼が、あたしの視界にはぼやけて見えた。



「……泣くなよ」


「だって」



< 3 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop