贖銅(ぞくどう)の刑
だから実君、お願いがあるの。

私を…」

「えっ…」




「…着いたぜ、千歳。」

「ありがと…って、あら?つまんなさそうな顔して…

あっ!?もしかして、私が帰りたくないって言ったから、何か別の事、期待していた?」

千歳が、からかうように実にそう言うと、バカ言えとでも言いたげな表情で、少し顔を赤らめて言った。

「はっ、初めて知ったから、へ~って思っていただけだよ。」

「何だ、つまんない。

そうなの。お母さんの実家は、実はこの県境にあって、ここが私のおじいちゃんとおばあちゃんの家よ。

泊まってく?」

そう言って千歳が悪戯っぽく笑うと、実は苦笑した。

「だから違うって!

…もう、帰るぞ。またな。」

そう言って、実は千歳に背を向けたままバイクにまたがり、派手な爆音をバイバイ代わりに走り去っていった。

-…怒っちゃった、かな?

まんざら、冗談って訳じゃなかったんだけれどなあ。-

少しつまらなさそうな表情を浮かべたまま、千歳は家のインターホンを押した。

程なく、ドアがガチャリと開き、千歳のおばあさんが現れた。
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