贖銅(ぞくどう)の刑
「どなたでしょうか…って、あら、ちいちゃん!?

おやまあ、こんな夜遅くに…一体、どうしたのかしら?」

「今夜、ここに泊めて!

お母さんと、ケンカしちゃってさあ…」

こうして千歳は、母方の実家に一晩お世話になる事にした。




「おじいさんは、もう休んじゃってるから、また明日、挨拶すると良いわ。

所で、着替えはケンカしていて何だけど、お母さんのお古を借りるしかないようね。

…でも、ええと、それより替えの下着は…」

「もう、コンビニで買ってある!」

「あらそう。じゃあ、お母さんの部屋で今日はお休みなさい。」

おばあさんに案内され、母親の使っていた部屋の前に来た時に、ふとおばあさんは千歳に言った。

「気のせいかしら。お母さんとケンカして来た割に、なぜかちいちゃん、少し嬉しそう…」

「そんな事ないよ。ほら、私こんなに悲しそうな顔して…」

「何と言ったらいいのか、その、顔つきが良くなったって意味で…

前より、明るくなったような?」

そう言われて、なる程そうかもと千歳は思った。
< 16 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop