贖銅(ぞくどう)の刑
-おふくろ、俺があんたの意志を継ぐものだとしたら、今やコイツは、あんたの立派な生まれ変わりだ。

…まあ、完全に頭のねじはぶっ飛んじまってはいるがね…-



…渋滞を抜け、わき道にそれ、誰もいなさそうな場所まで二人は来た。

そして車を止めるなり実は、これで何本目かのタバコを、吸い殻入れにぐしゃぐしゃと力一杯に押し付け火を消すと、いきなり助手席にいる千歳の唇を奪った。



「ふぐっ、むぐっ…」

「ん…はあんっ…」

お互いシートベルトを外し、乱れ合う二人。

実は、自身と千歳との数奇な運命がフィナーレへ近付いている事に対して、はやる気持ちを押さえつけるかのように、乱暴に千歳の身体に顔をうずめた。

-ふうっ、ふうっ!でももし、あの鬼女の子として生まれなければ、俺はもっと幸せな人生を…

もしかしたら、コイツとも、もっといい形で結ばれて-
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