贖銅(ぞくどう)の刑
あの後、お前は逃げるようにして退学し親元から離れて、県外に脱出した。

親二人は、そのまま県内に残ったが、奴らの報復を恐れて、しばらくして今の県境に引っ越した。

その頃には、勇次さんとやらの忘れ形見、千歳がすでに、お前のおなかの中にいた。

一方、この事件が公になるのを恐れ、適当な理由を付けて退学した私のおなかの中にも、新しい命が芽生えていた。

何度堕ろそうか、悩んだが、お前に復讐する気持ちを忘れない為に、あえて産んだよ…


実を!!-

「ええっ!?」

「静かにしてろっ、千歳!」

実は、身体を震わせ歯をキリキリといわせ、涙を流しながら、ICレコーダーから流れてくる、残酷な真実を聞き続ける事を千歳に強要し続けた。



-…やっとの事で、お前の逃走先を見つけ出した私は、生まれたての実と共にお前に、この不始末をどうやってつけるのか、脅迫しに行った。

まずは手始めに、お前に薄めた酸の入った小瓶を手渡し、さあ、罪の意識があるのなら、それでお前の可愛い千歳ちゃんの顔でも焼いてみなって、揺さぶり程度に言ってみた。
< 45 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop