贖銅(ぞくどう)の刑
こんな嫌がらせを思いついたのも、元々この地域が、過去の大犯罪者のせいで、顔に障害を負っている人が、差別される土壌が出来上がっている事を知っての事だった。

だが、あの時も言った事だが、それを勧めたのは、本当にやれと言う意味ではなく、単に色々とお前をイジメ倒す為の、まず手始めの脅しのつもりで言ったんだ。

だけどお前は、はあ、本当に、それでも赤い血の通った人か?

自分かわいさに…

それとも、突然、忌まわしい過去である私が、いきなりお前の前に現れたショックで発作的に…


…いや、前者だろうね。お前はそういう人間なんだ。

まただ、また、罪の意識から逃れたい為に、問題を簡単に済ませたいが為に、短絡的に、自らの手で我が子の顔を酸で焼き、贖銅代わりにしたんだ。

私は、余りの人でなしを目撃して、恐れ入ったと同時に、こんなに簡単に、復讐の宴がお開きにされては困ると、お前にこう提案した。

そうか、そうなのか。そんなに罰金を払うのが好きなら、いいだろう。

私の気持ちの上では、そんな程度で罰金を支払い切れたとは言い難い。

だから、足りない分は、定期的に回収させてもらう事にしよう。
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