贖銅(ぞくどう)の刑
-ひどい!あんまりだわ!

あなたの言う事を、今日の今日まで、素直に聞いてきたじゃない?

私だって、ずっと、あなたに対する罪の意識から、苦しみの毎日を過ごしてきたわ。

しかも、私だけでなく、何の罪もない、私の娘まで巻き込んで…-

-確かに、千歳の明るい未来を黒く塗ったのは私だ。

だが、それはお前が、自ら娘の顔を焼いたのが、そもそもの始まり。

実際、お前に与える刑罰の候補は、いくらでもあったんだ。

お前が、お前の意志で娘の顔を焼いた…

それはある意味、お前自身が、数ある刑罰の中から、私がお前に、娘を贖銅として差し出すように命令するように、示唆したのと同じだよ。


…いい加減、手を離せ!-

-い、嫌!お願い!行かないで!-

-しつこいな!離せって…言ってるだろ!-




-わ、わあっ!-

-あっ、茜っ!-




-あ、茜?大丈夫…

ヒッ!-




「…と、言った感じだ。

おふくろが、千歳の母親との話し合いの席に、スカートのポケットに忍ばせておいたICレコーダーの内容は、ここで終わりだ。
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