贖銅（ぞくどう）の刑

「…楽しくないよね、人生。」

「ああ。でも、最近、自分が生きてるって思える瞬間、見つけたんだ。

…良かったら、お前にもその瞬間ってやつ、教えてやろうか？

夜の９時頃、この公園にいろ？迎えにいくから…」




…凄まじい喧騒と風切り音、若者特有の荒々しさと熱気。

千歳は、実に誘われるがまま、その日より実の所属している暴走族のチームに出入りする事となった。

「あんたが実の連れの千歳ちゃんか？

…安心しな。ここなら学校なんかよりも、きっと、ずっと幸せでいられるぜ。」

実際、実の所属しているチーム、『ビーナスビート』では、千歳は一切イジメられる事はなかった。

理由の一つとして、彼らの出身が（実も含め、）Ｎ県の隣、つまり忌まわしい事件のある区域とは縁もゆかりもないと言う事があった。

ただそれ以上に、元々皆が、千歳と同じく、心に何らかしらの傷を負った少年少女だったので、慰め合うといった事に対する団結力が半端じゃなかったのだ。