俺を好きになれよ。
何も話さないリュウに着いていき、電車に揺られて二駅。
駅近くのアパートに着いた。
「ここ、兄貴のアパート」
「え?」
「行けよ、会いてーんだろ?」
会いたくてたまらない彼が目の前にいるんだ……。
あたしはゆっくり前に進もうとする、けど。
「やっぱりやだ」
後ろから抱きしめられた。
「2階の左から3番目が兄貴の部屋」
言われた部屋に視線を移す。
「帰っていないみたいだな」
部屋の灯りは無い。
もう、あたしたちダメかな。
「俺を好きになれよ」
彼は、あたしの耳元でそっと囁いた―――。
――― finish.