。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「何で?あいついいヤツじゃん。
お前の好みだし?♪」
「そりゃええ子ですよ。確かに好みのタイプでもありますが……
彼女はお嬢の親友ですよ」
響輔は真剣なまなざしで俺をまっすぐに見据えてきた。
「だから何やって言うの。川上と付き合うても朔羅は怒らへんて」
「そうゆう問題やあらへん」
カチャッ
響輔は乱暴にカップを取り上げ、ぐいと勢い良く飲んだ。
「じゃぁどないな問題?」
「俺は………今でも
お嬢を…………」
その言葉の続きは聞かないまでも分かる。
「そんな操だてするようなことせんでもええやん」
「お嬢を好きな俺がリコさんと付き合うたら、彼女を傷つけるだけや済まされへん」
まぁ…普通に考えたらそうだよな。
朔羅と川上は親友だし、万一響輔と川上が付き合うことになって何らかの理由で破局を迎えても、朔羅はその理由を問い正したりしないだろうが。
「もっと気軽に考えればええんちゃう?」
「気軽に……あの一瞬そんな考えも過ぎりました。
あの瞬間、彼女のキスに応えて彼女が望んでいるプロセスを踏んでベッドになだれ込むことも可能でした」
………
俺は飲んでいたコーヒーを喉に詰まらせそうになった。
ゲホッゴホッ
ちょっとむせて顔を上げると、響輔の困りきった顔があった。
「ちょっと待て。お前……川上とキス……したの?」
俺の問いかけに、響輔はゆっくりと俺から視線を逸らして窓の外を眺めながら小さく頷いた。