。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
響輔のこの様子だったら、響輔からしたわけじゃなさそうだ。
「自分でも分かってるんです。
リコさんの告白には驚きましたが、それを受け入れたら俺はきっと楽になるて。
いつまでもお嬢を想ってるのも正直しんどいときもあるし、
一結にもきっぱりと断る口実もできる」
「じゃぁええやん。何が問題あるん?」
俺は目だけを上げて響輔に聞いた。
響輔はいつになく真剣なまなざしで深刻そうに眉間に深く皺を刻むと、
「俺、リコさんを好きやけど
それは恋愛とかやなくて……
リコさんの求めてるもん返せんし」
「そんな深刻に考えること?
付き合うてるうちに好きになるやもしれへんやん」
「そうかもしれへんけど、もし友達以上の感情が起こらへんかったら?
リコさんを苦しめる、傷つけるって分かってて、甘えるわけにはいかへん」
「それは甘えやなくて、逃げやないの?」
俺がまっすぐに響輔を見つめると、響輔は目を開いた。
「お前は
そうやって逃げることで、朔羅からも川上からも―――イチからも目を背けてる気がする」
響輔のテーブルで握った手が僅かに震える。
「戒さんに……
何が分かる言うんですか」
低く言われて
「そうやな……お前の気持ち知っててそんなこと言う俺が間違ってたわ。
確かに俺が悪い」
分かったフリで説教みたいに言うんは、浅はかやったな。
響輔が手に入れられないものを、簡単にさらっていく俺に
何かを言う資格なんてない。