。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
俺が後部座席に目を向けると、後部座席の窓は半分影がかかっていて、誰か座っているのは分かったが、それが彩芽さんだとは判別できなかった。
「戒さん…?」
助けにきてくれた響輔が急に態度を変えた俺を不思議そうに見る。
俺は真剣な顔で後部座席を見据え、だがその人物が彩芽さんかどうかは分からず。
白い唇に浮かんだ赤い唇。
女だと言うこと以外…
まぁこいつが乗せる女なんて彩芽さんしか居ねぇだろうが。
俺はその車に近づいて確かめようと窓を覗き込もうとしたが、
暗がりの中、女が何かを運転席のドクターに呟き、
「お邪魔みたいだから私たちはこれで失礼しますよ♪ふふっ
オタノシミの続きを楽しんでいてください」
一方的に言われて、手を伸ばした先で車が発車しだした。
結局、後部座席の女が彩芽さんだとは分からなかった。
でも間違いじゃない。
あのオピウムの香り。
あれは疑惑の女―――
彩芽さんの香りだ。