。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
でも彩芽さんだとしたら、
どこか違和感―――……
俺は響輔の方を振り返った。
「オピウムが香ってきた。
あの後ろの席に乗ってたんは彩芽さんや」
鼻先を押さえて車が走り去った方を眺めていると、
「俺は香りには気付かなかったですけど、でも誰か居る気配はしましたね」
「間違いない、彩芽さんや」
「あの二人…ドクターたちは恋人同士なんですよね」
響輔も立ち去った車を目で追いながら目を細めている。
「ああ、みたいだけど?」
「恋人同士って普通、助手席に座りませんか?」
響輔がいぶかしむ様に眉を寄せてドクターたちが去ったほうの車をじっと見つめている。
あ…なるほど。違和感てそれか。
「何で後部座席に?喧嘩してるとか…?」
「そんな雰囲気にも見えませんでしたけどね。喧嘩してもカップルや夫婦って運転席と助手席じゃありませんか?」
「じゃぁあの二人はどうゆう関係なんだよ」
「分かりませんが、俺たちが思う程親密な関係じゃないかもしれませんね」
「元々クラブZが怪しいって言って、たきつけたのはあの女だぜ?
絶対何かもくろみがあってドクターに近づいたに違いないが」
「そのもくろみってのは
ドクターを介して、戒さんに近づくことじゃないんですか?
甘くみない方がいいってことですね。
戒さん、気をつけてください」
ああ、言われなくても
あの女―――絶対何か隠してる。
それも…何かとんでもない秘密だ。
必ず…
必ず俺があんたの秘密を暴いてやるぜ。
覚悟しいや。
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