。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
バット!?
■ バット!? ■
わぁわぁ喚いていると
TRRRR…
突如タイガのケータイが鳴って、タイガは
「ちょっと待って」とお手上げのポーズでスーツの内ポケットを探る。
ケータイのディスプレイを見たタイガはそれまでのおふざけから一転、一瞬……ほんの一瞬だけ驚くほど目を険しくさせた。
「失礼。ちょっと急用みたいだ。
電話に出てきてもいいかな」
似非臭い笑顔を貼り付けてタイガは店の奥を指差し。
「おめぇに用はない!電話でも何でも出てきて帰ってくんな!」
と言いたかったが、それは言わずに心の中に留めておいた。
タイガがあたしたちの返事も聞かずに立ち上がる。
さっきの―――…一瞬の表情が気になる。
タイガが店の奥へ向かう後ろ姿を目で追いながら、
「ごめん、リコ。あたしもちょっと…すぐ戻ってくるからここに居て」
と言い置いてタイガのあとを追った。
タイガは
トイレの通路の奥まった場所で電話に出たようだ。
あたしは壁に隠れてタイガの会話を盗み聞き。
「――――…もしもし?この電話に掛けてくるなと言ったはずだろう?」
押し殺した声はいつになく真剣で、冷たく感じた。