。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
タイガは……タチバナのことを知っているのだろうか。
そんな口ぶりだった。
彩芽さんのクラブの共同経営者。
さらに高架下で見知らぬ男に襲われたとき、タチバナは居た。
そして叔父貴の―――友人……?
タチバナは一体何者なんだよ―――…
―――――
―――
結局遅いから送って行くとのタイガの申し出を断って、あたしは家からマサを呼んだ。
この頃じゃすっかりリコも慣れたのか、マサの登場にもさほど驚かなくなった。
ありがたいのか、そうじゃないのか…
リコをおうちに送り届けて、あたしとマサが組へ帰り着くと
それとほぼ同時に戒とキョウスケが二人して帰ってきた。
どこかで落ち合ったのだろうか。出ていくときは別々だったのに。
「ただいまです~」といつもと変わらない様子の戒。
一方のキョウスケは
「戻りました…」と小さく言ってあたしと顔を合わそうとはせずに、ぱっと顔を逸らした。
目すら合わない。
「何でぃ、おめぇ暗ぇな」
マサはいぶかしんでキョウスケを覗き込み
「響輔さんはお疲れなんだ。僕があちこち振り回しちゃったから。
ほら、寝に行こう」
戒はキョウスケの背中を押して、部屋へ促す。
憔悴しきったキョウスケはのろのろと階段をあがっていき、その様子を不思議そうに見送っていたマサもすぐに台所へと向かっていった。
それを確認した戒は顔に微苦笑を浮かべて、
「朔羅。
近いうちランチ食いに行こうぜ。
何食いたいか考えておいて」
え―――……だって賭けはあたしの負けなのに―――
ちょっと悲しそうに眉の端を下げて戒は自分の部屋に向かおうとする。
その足取りを止めたのはあたし。
「待って!」