。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
新垣 エリナのおうちはご両親はお仕事で不在。お兄さんも大学に行っていて、
家にはあたしたち二人。
ちょうど良かったのかもしれない。
新垣 エリナ一人じゃ心細かっただろうし。
新垣 エリナのお部屋は八畳ぐらいの部屋で、いやらしくない程度の落ち着いた紫色を基調とて所々グレーの家具が配置してある。
オシャレなお部屋だった。
ちょっと変わったアンティーク調のカーテンはきっちり閉められていて、新垣 エリナはそのカーテンを開けようとはしなかった。
外に誰かがいるかもしれないと言う嫌な想像に怯えていそうで、わずかに顔色を悪くさせてカーテンが閉まっているのをしつこいぐらいに確認している。
「あ、可愛いお部屋だね!」
あたしは話題を変えるように、オシャレに配置している香水ボトルや、ジュエリーボックスとかを目配せ。
「ありがとう」
新垣 エリナはちょっと安心したかのように頬を緩めて、その中からマニキュアの入った箱を取り出し、
「明日バイト休みでしょ?ネイルしない??♪」と聞いてきた。
明日はバイト先が定休日で、ついでに戒と豪華ランチ(賭け)の約束もしてる。
ランチはまだ考えてないケド。
おしゃれしてデートてのもたまにはいいよな♪
―――…ネイルなんてはじめてだ。
新垣 エリナはあたしの手をとって、爪先にピンク色と白のマニキュアをきれいに塗っていく。
随分手馴れた手付きで、みるみるうちにあたしの爪がぴかぴか可愛いく変身していく。
「お花だ!」
淡いパールがかったピンクの下地に白のマニキュアの筆先で、新垣 エリナは器用に描いていく。
はー
すっげぇな。
「龍崎さんのイメージぴったり。ね、ストーンもつけてみていい?」
新垣 エリナはあたしの爪を彩りながら凄く楽しそうだ。
メイクアップアーティストになりたいってだけある。
大小さまざまのキラキラストーンもつけると、また一段と華やかになった。
片手五本全部の指じゃなくて、薬指のところだけ。
左手薬指の爪の表面が、意味深に花開く。