。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「違うって。
あたし、誰かが何かに向かって一生懸命な話って、どんな小さなことでも楽しいし
すっげぇな、って思うよ。
あたしもそんな風に一生懸命語りたいな、とか考えるし。
でも
それを考えると、やっぱりあのコーチのことは許せねぇな―――って…」
あたしの言葉を聞いて新垣 エリナはパンフをしまおうとしていた動作を止めた。
「あたし……あたしもいけないの。
お金が欲しかったからとは言え、あんなことしなければ…
でも
そう言ってくれてありがとう」
新垣 エリナは今にも泣きそうな瞳で笑顔を浮かべて
トン
あたしの肩にもたれかかってきた。
「龍崎さんて不思議。
外見は凄く女の子なのに、中身はその辺の男の子より男らしい。
頼れるし、守ってくれるし―――
龍崎さんが男の子だったら、あたし
間違いなく告ってたのになー…
龍崎さんがあたしの王子さまだったら良かったのにな~」
「うん、ごめん。
あたし生物学的にも戸籍上でも女なんだ。
王子じゃなくてお姫様になりたいし。
それに守ることはできても、あたしバカだから頼りがいはないよ?」
冗談ぽく返したが、
新垣 エリナはうっすら微笑んで
「ううん、あるよ。
頼りがい」
そう言ってあたしの肩に頭を乗せてきた。
まぁ……?男じゃなくても、女の子に告白されたけどな。
なんて
言えねぇけどな。
恋とも違う、友情とも違う
辛くて暗い出来事を共有した、ってだけじゃなく
あたしたちはきっと
何かで繋がっているんだ―――