。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
か、関西弁喋る女の人だってこの東京にいっぱい居るし…
考えすぎだよ。
でもこの顔……
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「うちな、東京は今日ががはじめてなんです。お恥ずかしいことで」
電車の中で三人並んで座って、女の人は口元に手を当てて上品に笑う。
「い、いえ!ごちゃごちゃしてますから分かり辛いですよね。
あ…あのどちらからいらしゃったんですか?」
「うち?うちは大阪から。ほんまは主人と一緒に行動するはずやったんやけど、あの人こっちで急な会議が入ってしもて。
ずっとホテルで待ってるのも退屈やし、東京見物でも思うて出かけたんやけど、それが間違いやったわ」
女の人は恥ずかしそうに笑って…でもその恥ずかしそうなのもまるで小鳥のように愛らしい。
「親切やね。おいくつ?」
急に聞かれて、あたしは慌てて
「じゅ、16です!」と答えた。
「あら。うちの娘と同じ歳やわ。
うちの娘なんてお嬢ちゃんみたいにようできた子やなくてね。お恥ずかしい限りですけど」
同い年の娘―――…
「あ、あの…お子さんはお一人なんですか?さっき息子さんがいるような口ぶりでしたけど…」
なんとなく気になったレベルではなく、それは確信を得るため。
「うち?息子もおるよ。今年二十歳になる息子がね。
そうや、息子も東京おるし案内してもろたら良かったんや」
女の人は楽しそうに喋ってくれる。
あたしはその話に相槌を打つのが精一杯。
二十歳の息子―――…
この人やっぱり……