。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
あたしは龍崎グループ本社の前まで女の人をご案内。
この様子じゃあたしが“龍崎 朔羅”とバレてないようだし。
って、てか!このこと“あいつら”知ってんのかな!
知らねぇよな。だって今朝も何も言ってなかったし。
と、とにかく報せなきゃ!
「す、すみません。あたしたちここで。行こっ」
あたしは一緒についてきた新垣 エリナの腕を取ると
「え??」新垣 エリナは当惑したようにあたしと女の人を目配せ。
「ごめん!ちょっと所用でっ。ワケはあとで話すから」
小声で新垣 エリナに言うと、新垣 エリナはとりあえずは頷いた。
「案内してくれおおきに。そや、今度ゆっくりお茶でもしぃひん?お礼したいわ」
「い、いえ!お気になさらず!!」
変な風に声が引っくり返った。
ここで叔父貴に会っちゃったら言い逃れはできねぇし。
掴まる前に逃げなければっ!!と言う思いで回れ右をすると
ドンっ!
目の前に居た誰か知らない人と派手にぶつかった。
上背がある人であたしはその人にぶつかってよろけた。
その男の人はさっきのムカツク男ではなく、しっかりと力強く支えてくれる。
「す、すみません!」
慌てて打った鼻をさすりながら顔を上げると、
これまたぴしっとした細身の黒いスーツが似合うイケメンが…
叔父貴の取り引き相手かな…でも爽やかに見えるのにどことな~く
筋者の迫力が。
「失礼。お嬢さん。お怪我は?」
女の人と同じイントネーションの、またも関西弁で聞かれてあたしは再び目をぱちぱち。
男の人は爽やかな笑顔を浮かべてにこにこ聞いてくる。
「い、いえ!大丈夫です」
「ほんまですか?可愛い顔に怪我とかしたら大変や」
このフェミニストっぷり…どこかで聞いたような。
「あなた?」
和服姿の女の人が近づいてきて、男の人の肩に手を置く。
やっぱり夫婦だったか。
そしてこの女の人と男の人の正体も……なんとなく分かっちまった。
分かりたくなかったけどな!