。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
キョウスケは襖の方を向いたまま胡坐を組んで座っていて、あたしはキョウスケに背中を向けてとりあえずは服を着ることに。
な、なんだよ…この一夜明けみたいな二人の雰囲気はよ。
戒とだって何もなかって言うのに。
妙に気恥ずかしくて、ごそごそと服を着ながら
「どこへ行ったかわからねぇって、GPSは?お前探れないのか?」
恥ずかしさを紛らわせる為あたしは何でもない様子を装って聞いた。
「ケータイの電源切ってあります。追跡されるのを避けてますね」
電源切られてる―――か。
怪しすぎる。
服を着終わったあたしは、
「キョウスケ、もういいぞ」と言って声を掛けると、キョウスケはゆっくりと振り返った。
その顔はさっきの慌てた表情ではなく、いつもの無表情。
その顔で
「これ、部屋の外に落ちてましたよ」
と戒がさっきホットミルクを飲んでいたマグカップをあたしに差し出してくる。
あ…戒が落としたカップ。
おずおずと手を出して受け取ろうとすると、キョウスケの手がぎゅっとあたしの手を握った。