。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



お姫さまはどの物語りもキラキラふわふわ。可愛くて甘くてとろけるようなストーリーを持っている。


白雪姫、眠りの森の美女、美女と野獣、


でもあたしが一番好きなのは





昔から



シンデレラ。





ガラスの靴ももちろん素敵だけど、魔法使いがぼろぼろの洋服をドレスに、かぼちゃを馬車に替えてくれるなんて


何て素敵。


きれいなドレスを身にまとったシンデレラは王子さまの待つ舞踏会へ―――



だけど夢に出てきたのは……


てかまた夢かよ。


こないだ見た真っ白に広がる雪原。


まるで白いシルクの布を敷き詰めた景色に、どこからか狼の遠吠えが聞こえてきた。


狼……?いやぁな予感を覚えて振り返ると、




「僕のお姫さま♪」




変態タイガが現れた。


またかよ!またお前かよっ!!


しかもガラスの靴じゃなくて、白いおっしゃれ~な…大人の女の人が履くようなパンプスが現実的だ。


細いヒールが折れそうだぜ。


それでもあたしは条件反射で、その細いヒールの洒落たデザインの靴に足を入れようとしたが、





『ジミー・チュウのパンプスで罪滅ぼしのつもり?


あなたはやっぱり……あなたね』




聞いたことのない女の人の声が背後で聞こえて、目の前で跪いてあたしにパンプスを差し出しているタイガは少しだけ悲しそうに眉を下げた。





『違うよ。


そんなつもりじゃない』





寂しそうに否定するタイガは、あたしが知ってるタイガじゃなくて






『守りたかっただけだ。




ただ―――君たちを……』




悲しそうな表情が降りしきる雪の中に溶けるように滲む。


狼の遠吠えが遠くで聞こえて…その絞るような声が震えているように聞こえるのは気のせいだろうか。



どうして…


どうしてそんな悲しそうな顔するの?あたしの前ではいつもバカみたいに笑ってるってのに。


どうして―――


そんな寂しそうな目であたしを見るの……?





ねぇ





どうして











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