。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
*一結Side*
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.。*†*。. 一結Side .。*†*。.
午後6時50分。
駅前は帰宅途中のサラリーマンやらOLがごったがえしになって賑わっていた。
みんな疲れていそうで、その顔からあまり表情らしい表情を読み取ることができない。
足取りも一定で誰一人として立ち止まることなく、まるで魚の群れのように目の前をいったりきたりしている。
その人の波に背を向け、大通りに出てタクシーを拾おうときょろきょろすること十分。
どうしてここタクシーが通らないのよ。
大きな駅ならある筈のタクシーのターミナルもないし。
こんなんなら歩いた方が早かった。でも途中で汗かくのもいやだし。
そもそもこの“約束”断れば良かったのよ。
何であたし返事しちゃったのよ。
苛々した面持ちで腕時計を見る。
待ち合わせの時間まであと10分だ。
その姿が駅の複合ビルの一階のショーウィンドウに映って、あたしはちらりと全身をチェック。
今日は髪だって黒に近いブラウンにしてきたし(またすぐ戻すけど)裾がふんわりとしたスカートに淡いブルーのブラウス。パステルイエローのカーデを羽織って…
なんかあたしっぽくない…
ちょっと目を細める。
無難ての??
でも
「真面目な格好で来い」とか言われたし、“食事会”にはこうゆうのがいいよね。
「でも……あいつ……
響輔は好きそうだよね…こうゆう格好」
なんか朔羅みたいなかっこ。
それを考えてちょっと嫌になり、あたしは慌ててショーウィンドウから顔をそらした。
そのそらした先に一台の大きなバイクが路肩に停めてあった。
シャドウファントム……?
ドキリ、として目をまばたいていると
バイクの持ち主だろうか一人の男が店から出てきて、やや大げさな素振りでバイクにまたがる。
響輔と同じぐらいの年齢で背格好も良く似ていたが
「ハルミ、行くぞ~」
店から出てきた女の子に呼びかけ、その男が
響輔じゃないことを知った。
よく見たら全然響輔と似てないし、バイクもシャドウファントムじゃなかった。
何やってんの、あたし―――