。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「待ってよ~」
男たちがあたしの断り文句にもへこたれずにへらへらついてくる。
表通りから一本奥まったセカンドストリートに入ると、一気に人通りが少なくなった。
歩く道の選択を間違えたが、店の場所はこの道を北上したところにあるのだ。
「ついてこないでよ」
前を向いたまま苛立ったように声を荒げると
「少しだけでいいからサ。飲み行こうよ。
絶対後悔しないよ?」
一人の男があたしの前を先回りしてあたしを覗き込んでくる。
そのツラを目に入れただけでもすでに後悔だっつうの。
てかしつこい!大抵の男ならここまで冷たくされたら引くっての!
あぁもう、バカなナンパ男のせいで頭痛までしたきた。
「急いでるの。どいて」
あたしは男を押しのけるように前に進もうとすると、
「お高く留まってんじゃねぇよ」
後ろの一人があたしの肩を強引に掴んで後ろに振り向かせた。
その男は三人の中では一番イケメンだった。まぁ響輔には到底及ばないケドね。
いかにもモテそうな雰囲気で、断られたことがなさそうな感じ。ちょっと冷たくされてムキになってるようでもある。
「離してよ、あたしは約束があるの」
手を払いのけると、男はまたも苛立ったように眉をしかめて
「思った以上に可愛くないじゃん?お前がすっげぇ美人だって言うからどんなのかと思ったら」
とすぐ隣の男を目配せ。
あたしもムっとなって思わず男を睨み上げた。
いつもならムカつく男のこんな捨て台詞気にしないってのに。
「負け惜しみ?ちょっと相手にされなかったからって。
小さい男」
ふん、と言ってやると、
男はいきなりあたしの腕を掴んだ。
「この女、マジでむかつく。おい、予定変更だ」
なにこの男……普通そうに見えて―――目がヤバくない?
クスリでもやってんのかしら。
そんな雰囲気があった。
自分の挑発をちょっと後悔してそろりと一歩後退したときだった。
「一結!」
名前を呼ばれてあたしは目を開いた。