。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
そのまっさらな背中を目に入れて、鴇田の眉間に一層深く皺が刻み込まれた。
「クソがき共!!
代紋背負う覚悟もねぇくせに“極道”語ってるんじゃねぇ!!
“極道”の名を汚してんじゃねぇ!」
鴇田は今まで何だったって言うんだ…と言うほど迫力のある怒鳴り声で一喝して、スーツの上着を翻した。
その腰のベルトに挟みこまれた黒光りするものをちらりと目に入れてあたしは目を開いた。
「や、やめてよ!こんなところで騒ぎを起こさないで」
あたしはその手を掴んで鴇田にすがりついた。
万が一誰かに見られでもしたら、あたしの女優生命に傷がつくじゃない!
実の親が“銃刀法違反で逮捕”なんてなったら、もうその道では終わりよ。
一人で青くなってると
「やめておきなよ、“ぼっちゃん”たち」
少し離れたところで聞き慣れた男の声が聞こえて、あたしたちは全員声がしたほうを向いた。
ビルにもたれて立っていたのは
大狼だった。