。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「大狼…何で貴様がここに居る」
あたしが聞きたかったことを鴇田が先回りして聞いてくれた。
大狼は休日なのだろうか、いつものスーツ姿じゃなく濃いグレーのカットソーと細身のジーンズと言うラフな格好だった。
「衛に頼まれちゃったんだよ~イっちゃんと組長が来ないからどこかで道草食ってるかも。
または親子喧嘩とか??
見てきてほしいって。
まったく…幼馴染だからって人使い荒いよね」
大狼は相変わらずのへらへら笑顔。
「何だよお前…」
男たちの意識が鴇田から大狼へ移った。
「何者かって?それをこの場所で聞いちゃう?」
大狼のフザケた答えに男たちが苛立ったように目を吊り上げ
「そりゃもちろん正義のヒーロー♪
…じゃなくて、残念。
私は鴇田組構成員、大狼だ」
大狼は着ていたカットソーを脱ぎ捨て、あたしたちにゆっくりと背を向けた。
その引き締まった背中一面広がるのは
猛々しい牙を剥く
狼。
男たちはごくりと生唾を飲み込み、
「このお方は私と兄弟盃を交わしたオヤジ、
鴇田組の組長であられる。
命が惜しくば消えるが良い」
今まで聞いたことのないような低い声を聞いて、どこにしまいこんでいたのかひしひしと迫力と威圧感が漂ってくる。
「く…組長…??」
バカな男たちがここになってようやく理解できたのか、鴇田見上げて目をぱちぱち。
「ホントよ。こいつ、こー見えてかなり強いわよ。死ぬ覚悟がなけりゃ消えた方がいいわ」
あたしが親切にアドバイスしてやると
「ご所望なら大狼と同じように脱いで代紋を見せることぐらいするが?」
鴇田はわざと軽く言って肩をすくめると
男たちは顔を青くして後ずさっていった。