。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
それからも…
鴇田はアルコールを入れても始終ペースを崩さず、いつもの無口な様子で黙々と食事を摂っていたし、
代わりにキリさんがあたしとドクターに気を遣ってあれこれ話題を振ってくれる。
あたしはその質問に当たり障りのない無難な返事を返し
何杯目かのグラスを空にしたときに席を立った。
「少し酔ったみたい…お庭を散歩してきてもいい?」
甘えるように鴇田に聞くと、
「ああ、気をつけろよ」と、だけ返事。
「私も行こう。外の風に当たりたかったんだ」
ドクターも席を立ちあがりあたしたちは二人で席を外した。
正直…何でついてくるのよ…とちょっと思ったけど、別にドクターなんて居ても居なくても一緒だし。
空気みたいなもんよ。
あたしは気にせずに店員に案内されて庭に出ると、プールサイドを歩いた。
赤い薔薇の花びらが上品に散ったプールサイドを歩いていると
「つまらない、って顔してますよ」
背後をついてきたドクターが声を掛けてきた。
あたしは顔だけを振り返らせて
「そう見える?」と眉をしかめた。
「そう見えます。それともフリなのかな。君は女優だし」
「フリ……じゃないわよ」
言って後悔した。
こんなの…我侭じゃない。
新しい義母を受け入れられなくて、駄々こねてる小娘みたい。
鴇田が誰と結婚しようとあたしには関係ないってのに。
あたしに父親なんて居ないってのに―――