。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
と、あたしが嘆く理由はこいつ(キョウスケ)の運転は超危険だからだよ!
「いやぁぁあああああ!死ぬぅぅうううう!」
いつもにも増して機嫌が悪いキョウスケの運転は、いつも以上に荒い!
あたしはジェットコースター100回分ぐらいは、この片道十分の運転で体験した気分。
最初は新垣 エリナのおうち。
こっちの方が家から近かったってのもある。
夏の夕暮れの時間帯…
昼間シャワーのように降り注いでいた蝉の声も落ち着いて、辺りはしんと静まり返っていた。
風が木々の枝や葉を揺らす音、各家から聞こえるエアコンの室外機の音だけが聞こえる。
あたしは
「ぅ゛~…ぎも゛ぢわ゛る゛~~」
新垣家が見える路上で、エンジンを切り全てのランプを消灯した車の中、
吐きそうになって口を押さえながら新垣家を睨んだ。
新垣 エリナのおうちは可愛らしい一軒家。
新築なんだろうか、壁の白さが他の家と比べてより際立って見えた。
く…家まで女の子らしいって!!
玄関ポーチに明かりがともっているし、その他の窓からも灯りがちらほら見える。
てことは家に誰か居るってことだな。
エンジンを切った車内、真夏の夜の張り込みは結構キツイ。
すぐに額に汗が浮かんだ。
この汗は、リアルな暑さからなのか緊張なのかどっちか分からない。
「十五分して戒さんが現れなかったら、次へ行きましょう」
キョウスケが時計を見ながら言ったときだった。
「その必要はないぜ。
見ろよ。出てきた」
可愛らしいアイアンの細工をほどこした門扉を開けて、新垣 エリナが出てきた。