。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
*鴇田Side*
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―* 鴇田Side *―
「色々迷惑を掛けたな。
すまないが、今日はイチを連れて帰る」
俺はイチを抱き上げたまま、キリと衛を見て謝った。
プールから落ちて以来、イチは俺にずっとこんな調子で俺から離れようとしない。
俺の首に回した手にぎゅっと力を入れる。
「構わないよ。イっちゃんは熱があるみたいだからお大事に」
衛にそう言われて、
熱―――……?
改めて抱き上げたイチの体温が熱いことに気付いた。
「はい、イっちゃん。荷物ですよ」
と衛がイチの荷物をイチに手渡すと、イチは無言でそれを奪い
大事そうに俺の腕の中で抱えた。
「悪かったな、キリ。
今度埋め合わせするよ」
キリを見ると、
「いいえ……お嬢さん、お大事にしてください。
しょ……いいえ、鴇田部長」
キリはほんの少し悲しそうな笑みを浮かべて、秘書仕様の仕草できっちり頭を下げ
一瞬、妙に他人行儀なその行動を不思議に思ったものの
店の人間が呼んでくれたタクシーが到着して、その疑問を口にすることはできなかった。