。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
質問が漠然とし過ぎていて、なんて答えればいいのか分からなかった。
けれど
「俺がお前の年齢ぐらいのとき…か」
俺は遠い過去の記憶を掘り起こすように考えた。
どんな小さなことでも良い。
イチは答えを欲しがっている。
「俺がお前の歳ぐらいのころ、親に反抗ばかりしてた。
俺は優等生の兄貴と違って不良息子だったからな。
しょっちゅう衝突しては喧嘩してたな。
だからかな、龍崎会長とは彼が生まれたときから一緒だったが、彼には俺と同じように反抗された。
札付きのワルに育てちまったのは俺のせいかもな」
俺の答えにイチは意外そうに目をまばたいた。
「あの会長が……?札付きのワルねぇ。何か想像できないけど」
イチがおかしそうに笑い声を上げて
「ワルだろ、あれは。高校時代は喧嘩三昧。
退学になりそうなとき俺が高校に出向いた」
俺は眉をしかめた。
俺は―――イチよりも今の青龍会を創り上げた会長を育てたって方が誇れることだと思っていたが、
もしかして逆だったのかも。
一人の娘として愛情を注いで育てたら、もっと向き合っていれば…
たった一人の父親として―――
今更後悔したって遅いが。
その世話をした会長も、姪であるお嬢を立派に育て上げられた。
口と態度は悪いが、愛情深くて優しい―――娘に育てた。