。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
新垣 エリナはジーンズにキャミブラウス姿のラフな格好。
ポニーテールを揺らして、警戒したようにきょろきょろとこちらを振り向いて、あたしたちは思わず身を低めた。
パタパタパタ…
サンダルの足音が遠ざかってそろりと顔を上げる。
「あとを尾けましょう」
キョウスケが言い出して、「う、うん」あたしも慌てて車から出た。
「どこへ行くつもりなんだろう」
小走りで先を急ぐ新垣 エリナの華奢な背中を追って、あたしたちは電柱の影からひょいと顔を覗かせた。
「財布も持ってないようですし、そう遠くじゃなさそうですね」
新垣 エリナは警戒したように何度も振り返る。
その度にあたしたちは慌てて電柱の影に隠れるが。
その警戒した動作がただ事じゃないように見えた。
それは心の底からびくびくと、何かに怯えているような―――
「何を気にしてるんだろ…やっぱストーカー被害に遭ってたてのは、ホントなんだろうか…」
「分かりませんね。けど
カタギとは言え、やり辛い」
キョウスケは眉を寄せ、それでも見失わないように彼女の背中をじっと見つめている。
どこへ行くんだろう…
む゛~…と新垣 エリナの行方を睨んでいると、
「ごめんね!急に呼び出して!」
新垣 エリナが誰かに話し掛け、あたしたちは揃って息を呑んだ。
この角度じゃ顔は見えない。
けど、アスファルトに伸びた黒い影が―――気配が……
「いや、いいよ。こっちも早くケリつけたいし」
声が―――
やっぱり……
戒―――……!