。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
キリから“子供”と言う単語を聞くのははじめてかもしれない。
そうゆう話をしたのもはじめてだし、まさかこの歳になって新たに作ると言うことは考えてもなかった。
「この歳でガキとか…」
何て答えて良いのか分からずウィスキーを乱暴に飲み込み、勢い良く流れ込んできたシェリー樽の香りにむせそうになった。
軽く咳き込むと
『動揺してるわね』
キリは喉の奥で笑い、
『すぐに、ってわけじゃないわ。ただ年齢も年齢だし考えておいて。
それと、私に結婚を止める意思はないから』
キリは秘書の口調でキビキビと言って、通話は一方的に切られた。
相変わらず―――…俺の想像を超える行動を起こす女だ。
面白いな。
今まで恋に堕ち関係を持った、たおやかで繊細で、優しい女たち―――
さゆり
百合香
とは違った力強さがある。
「面白いな」
俺はもう一度呟いて、喉の奥で笑うとウィスキーを新たに注ぎいれた。