。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
何杯目かのウィスキーを飲んだ頃だろう。
いい加減飲むのも飽きてソファに横になっていたら、どこからか
TRRRR
電話の音が聞こえてきた。
俺の着信音じゃない。
と言うと、イチか。
きょろきょろと辺りを見渡すと、ダイニングチェアの上に乗せられたイチのバッグから音が鳴っていた。
勝手に触るとまたイチのやつ怒るだろうな。
そう言う意味でバッグには触らず、俺は見て見ぬふりをしたが
一旦鳴り止んだケータイの音がまたも鳴り、気になってそろりとバッグの中を覗いた。
バッグの中はこざっぱりしていてケータイと財布、小さな化粧ポーチと手帳だけがあった。
その中からケータイを取り出すと赤いスマホの画面に
着信:響輔
と出ていて、俺は目を開いた。
手の中のケータイは鳴り続ける。
勝手に出たらそれこそイチのヤツが怒るのは間違いないが、俺は通話ボタンをスライドさせていた。
「イチなら寝てる」
相手が何か言ってくる前に先回りして言うと
『………鴇田さん―――…?』
キョウスケが電話の向こうで驚いたのが分かった。