。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「何の用だ。イチなら寝てるぞ」
もう一度言ったが、俺はすぐに訂正した。
「勘違いしてもらっては困るが、私たちはそうゆう関係じゃない」
『しませんよ』
キョウスケが短く答えて、その飄々とした態度が妙に鼻についた。
「お前たちは―――どうゆう関係なんだ」
イチは…自分の片想いだと言っていた。
キョウスケの方がどうなのか、俺は気になった。
遊びだとしたら―――……
『一結との関係?
彼女と一回寝ました』
またもさらりと言われ、握ったケータイがミシリ…と音を立てた。
寝――――……
どこからか湧いてくる怒りの感情を押し殺し、俺は空になったグラスに再び乱暴にウィスキーを注ぎいれた。
『俺が憎いですか?
“娘”の体を手に入れた男が―――』
キョウスケが淡々と聞いてきて、
出掛かった「当たり前だろ」と言う言葉を俺は慌てて飲み込んだ。
キョウスケはイチが俺の近親者だとまでは見抜いてはいるが、イチが“娘”だと言うことまで気付いてないはず。
気付かれてはならない理由がある。
こいつにだけは。