。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
キョウスケは電話の向こうで小さく吐息を吐き
『寝た…って言うのは文字通りの意味ですよ。
つまりは隣同士で眠っただけ。彼女に何もしてません』
呆れたように言う。
それでも疑わしそうに
「本当に?」と聞くと
『ちょっとした口論になってケータイと服を奪われて、ベッドに押し倒されて…何故か添い寝を強要されただけですよ』
服を奪われて…添い寝を強要…??
キョウスケが嘘をついているとは思えなかった。
って言うかそもそも今更俺にイチとの関係を嘘ついてどーするって話だが。
イチめ…お前何やってんだ。
急にキョウスケが不憫に思えてきた。
「迷惑掛けて悪かったな」
一応謝っておくと、
『…もう彼女には色々驚かされっぱなしですよ…』とキョウスケの憔悴しきった声。
「…すまん」
もう一度謝って、俺はがくりとがくりと頭をうな垂れた。
『寝てるのであれば今日は結構です。大した用じゃないし。
また掛けます』
キョウスケは俺が何か言う前に一方的に通話を切り、
「キョウ…!」
俺が言葉を掛けると、ツーツー…とむなしい電子音が聞こえてくるだけだった。