。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
あたしは戒のカットソーの裾をちょっと引っ張って目だけを上にあげた。
「なんか……そう思ってたなんて知らなかったからあたし…
ごめん」
いつもより素直になって戒を見上げると、戒は目をまばたきながらも、またも恥ずかしそうにちょっと顔を赤らめ
「個室パワーすげぇな。ここ選んで良かった」
とボソり。
「ね。
変なことしねぇから、くっついていい?」
そう聞かれてあたしはぎこちなく頷いた。
戒は言葉通りいやらしいことはせずに黙って手をつないでぴったりとあたしと距離をつめたまま。
あたしは大人しい戒に気を許して戒の肩に頭を預けた。
「なぁ…
今日鴇田に会ったら、マドンナのこと頼もうぜ」
「ああ、そうだな。
早いほうがいいしな」
「マドンナ、相変わらず鴇田があたしの親父だと思ってんだぜ?」
「何で。全然似てねぇじゃん」
これには戒も同意。
ふぅ、良かった~「分かる」とか同意されたらあたしマジで戒の首絞めてたぜ。
「何を思って新垣さんは鴇田が朔羅の親父だと思ったんだろうな」
「知らねぇよ。
(叔父貴の命令で)学校に迎えに来たからじゃね?」
「それだけなんだろうか――――」
戒はあたしの頭を優しく撫でながら、それでも視線をちょっとだけ険しくさせて入り口のほうを睨んでいる。
戒―――…どうしたの?