。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「安心しな。命だけは助けてやんよ」
ぐったりした男を水から引っぱりだして、飲み込んだ水を激しく吐き出している男のズボンからベルトを抜き取り、あたしは手水場の柱に手を回させると
その両手首をベルトできっちり閉めた。
「お前の尋問はあとだ。
とりあえずは戒!」
あたしは新しい柄杓を持って戒が闘っているご本堂の近くまで向かい、未だ接戦中の戒のバックアップ…をしようとしたら
「こざかしいクソガキどもめ!」
男がブーツの中に手を入れ、取り出したナイフに目を開いた。
こいつ…!まだ武器持ってたんかよ!
見るからに切れ味の良さそうなサバイバルナイフを戒の頭上に振り上げ、戒はそれを寸でで避けると、
壊れた賽銭箱の欠片を盾に男のナイフ攻撃をかわす。
戒はそのままその破片で一発男をぶん殴ったが、よろけながらも体勢を整える。
こいつら……戒と同じで足腰が強靭だ。鍛え抜かれてる!
「てやんでぃ!あたしの旦那に何しやがるっ!!」
思わず柄杓を持って走り出すと、
「朔羅!やめろっ!」戒の声が聞こえてきたが、それと同時に
ヒュっ
ナイフがあたし目掛けて飛んできた。
咄嗟のことで持っていた柄杓を楯に、ナイフは柄杓の器の部分に刺さった。
あと数ミリも読み間違えたら、心臓にグサリだ。
こ、怖っぇえーーー!
「何なんだよ、お前ら一体!!」
ナイフを抜き取り、柄杓を振り回すとその攻撃を避けながら男があたしにパンチを繰り出してくる。
その拳の勢いを封じたのは、戒。
男の後ろで腕を捻り上げ飛び上がると、男の首に足を回した。
戒と男がその場に崩れ、
腕を掴んだままの戒は両足を男の首に回し、腕と首を締め上げた。
「最初に言うておく。俺はお前らのこと何も知らへんけど、
俺の嫁に手を出した罪は重いで?
覚悟しいや!」
戒が喉の奥でにやりと笑い、腕をより一層捻り挙げると
ゴキッ!
鈍い音がして
思わず顔をそらすと、
「ぅわぁあぁぁあああああ!!」
男の叫び声が境内中に響き渡った。